環境構成とは、保育において、子どもが主体的に活動を行い、発達に必要な環境をつくり出すことを目的に、厚生労働省が「保育所保育指針」で定めている考え方です。

環境構成を保育園や認定こども園の園舎の建設計画時から検討することで、子どもの園舎での生活や発達過程をより良くするだけでなく、保育士の保育計画が適切に反映される効果が見込まれます。

この記事では、保育における環境構成の考え方、4つの環境構成の種類の違い、環境構成に配慮した計画事例、注意すべきポイントなどを網羅的に紹介しています。

環境構成とは?保育における原則となる考え方

環境構成とは、保育において、子どもが主体的に活動を行い、発達に必要な環境をつくり出すことを目的に、厚生労働省が「保育所保育指針」で定めている考え方です。環境構成を立案することで、子どもの主体性を促し、保育士の計画が適切に反映される効果が期待できます。

保育の環境には、保育士や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、園庭や周辺の自然などの自然環境、地域との関わりなどの社会環境などがあります。

保育所や認定こども園などでは、園舎の建設計画時から環境構成に配慮し、一人ひとりの子どもの生活や発達過程を適切に援助することができる空間や状況をつくり出す必要があります。

指導案作成時における環境構成について

保育士は、子どもの発達に即した保育を実践するために、「保育指導案」(保育指導計画)を作成する必要があります。保育指導案の作成担当者は、厚生労働省が定める「保育所保育指針」および「保育所保育指針解説」に示される内容をもとに指導案を作成します。

保育指導案には、どのような保育を実践するかを、環境構成とともに検討し、記載する必要があります。環境構成の記載欄では、保育の計画内容を配置図などと合わせて検討します。

保育士が作成する保育指導案や環境構成の書き方は、いくつかの行政や国の機関が計画例を公開しています。公開されている資料を下記の表にまとめました。配置図なども含めた環境構成の検討方法が理解できるので、ご参照ください。

保育指導案・指導計画の作成事例

事例ページ概要指導案の作成事例掲載場所
就学前教育カリキュラム
(東京都教育委員会)
東京都教育委員会が、都内の就学前教育における保育・教育の質の向上などを目的に発行したカリキュラム117〜163ページ「第4章 幼保連携型認定こども園 教育・保育要領を踏まえた就学前教育の充実」
指導計画・園内研修の手引き
(高知県教育委員会)
高知県教育委員会が、保育園や幼稚園での保育を実践するうえで参考になるようまとめた手引き。指導計画の作成手順などが解説されている21〜35ページ「指導計画の作成の流れ・ポイント」52〜60ページ「指導案 例」
「保育の計画」作成の手引き
(新潟市)
新潟市が厚労省の「保育所保育指針」の趣旨を理解し実践につなげるために作成した保育の計画のための手引き「様式及び記載例・記入のポイント」
参考となる学習指導案集
(埼玉県)
埼玉県の教育局が、指導計画の実際の作成事例を、複数の幼稚園から集め、公開している資料各リンクをクリックタイトルに「環境構成」が含まれている資料を閲覧すると、それぞれの指導案でどのように環境構成を検討しているかを確認することが可能
年間指導計画・月案・週案・日案のつくり方
(お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター『幼児教育ハンドブック』)
幼児教育に関する活動を行う際の参考資料として公開されているハンドブックのなかで、保育指導案・指導計画のつくり方をまとめている資料56〜60ページ
保育指導案での環境構成の記入例
保育指導案での環境構成の記入例(出典:参考となる学習指導案集(埼玉県)、作成:加須市立三俣幼稚園

保育における4つの環境構成

環境構成は「人的環境」「物的環境」「自然環境」「社会環境」の4つの要素で構成されます。これらの要素が関係しあうことで、育ちの場の雰囲気がつくられます。様々な環境を4つの要素として把握することで、環境構成が行いやすくなります。

4つの環境構成は、それぞれ次のような要素から構成されます。

人的環境・保育士の表情、言動
・保育士の服装
・人間関係から生まれる雰囲気
物的環境・家具、遊具、道具、砂、土などの物理的な物
・物がもつ重さや固さ、色、形などの違い
・扉や机などの安全性や清潔性
自然環境・園庭の樹木や水、土などの自然
・太陽、風、空、季節の変化
・室内の植物や、木、畳などの自然素材
社会環境・地域住民や周辺環境とのふれあい
・電車博物館などの公共施設での経験
・幅広い異年齢との交流

ここでは、このような4つの環境要素が、保育園の中で実際にどのようにつくり出されているかを、詳しく説明します。

人的環境:他の園児や保育士など人と関係する環境

人的環境とは、保育士の表情や言動やコミュニケーションに関係する環境のことです。人的環境に配慮することで、リラックスしたあたたかい雰囲気をつくりだすことができ、保育士同士の関係が良くなり、子どもが安心して過ごすことができます。

保育士同士のコミュニケーションを容易にすることや、あたたかく子どもに目を配ることが人的環境に関わります。

調乳室や事務室で他の作業をしながらでも保育室を見渡せることで、子どもから目を離すことが少なくなります。目が行き渡ることで保育士同士の円滑なコミュニケーションに繋がり、落ち着いた心持ちや無駄のない行動に繋がります。

ランチコーナーを見渡せる調乳室
ランチコーナーを見渡せる調乳室
絵本コーナーに近い事務室
絵本コーナーに近い事務室

物的環境:おもちゃや保育室など物と関係する環境

「物的環境」とは、保育室や物や道具に関係する環境です。物的環境に配慮することで、子どもが安心して過ごすことができます。また子どもの興味をひきつけ、自発的な動きを促すきっかけをつくることができます。

おもちゃや絵本、動き回ることができる大型遊具や保育室のような大きな部屋も物的環境に関わります。

絵本コーナーを動線の途中に配置しすることで、絵本への興味を惹きつけることができます。壁のワンポイントのカラーや、階段で上がることができる部屋を見せることで、子どもの自発的な動きを誘発することができます。

絵本コーナー
絵本コーナー
子どもの好奇心をかき立てる園舎内の立体遊具
子どもの好奇心をかき立てる園舎内の立体遊具

自然環境:園庭や植栽など自然と関係する環境

「自然環境」とは、樹木や水や土など、自然に関係する環境です。自然の中には多様性と遊びが満ち溢れています。自然環境に配慮することで、子どもがそれぞれの関心に合った発見をするきっかけが生まれます。

園庭の樹木や泥場、鳥や虫などの生き物が自然環境に関わります。

自然豊かな園庭をつくることはもちろん大切ですが、限られた敷地の園舎においては、緑を身近に感じられるように窓や通路の位置を配慮して、小さな自然でも有効に接することができる工夫は大切です。

緑が見える廊下
緑が見える廊下
緑が見える窓
緑が見える窓

社会環境:地域やマナーなど社会と関係する環境

「社会環境」とは、周辺環境や周辺施設とのふれあいに関係する環境です。社会環境に配慮することで、子どもが地域や家庭で得にくくなっている経験を体感することができます。

周辺環境や地域の人との触れ合い、そして交通マナーを学ぶなど社会的マナーを育てるための散歩などが社会環境に関わります。

地域交流室などを併設することで、家族や保育士以外の広範囲の人たちと関わりを持つことができ、社会的マナーやルールを学ぶ機会が生まれます。地域を走る電車や車が見えることで、周辺環境への興味や愛着に繋がります。

駐車場や車が見える窓
駐車場や車が見える窓
電車が見える窓
電車が見える窓

保育室や遊び場などの環境構成に配慮したレイアウト・コーナー・計画事例

保育園・認定こども園の園舎の計画段階から環境構成に配慮することで、子ども一人ひとりの興味関心や個性を尊重し、子どもの自発的な動きを誘発する環境をつくることができます。

園舎の計画段階から環境構成を検討する場合、保育室だけでなく、水回りや遊び場、園庭、事務室など、各部屋や場所ごとに環境構成を考える必要があります。ここでは、office EAが過去に計画した保育園・認定こども園の事例から、環境構成に配慮したポイントを場所ごとに紹介します。

保育室の環境構成

保育室の環境構成は、様々な遊び場と交流の場所をつくる点で重要です。保育室の環境構成に配慮することで、様々な雰囲気の場所をつくることができたり、異年齢間の子どもの交流を促すきっかけをつくることができます。

1枚目の写真は、保育室から玄関ホールを望めるように工夫することで、登園の友だちを迎えたり、帰りの友だちに手を振ることができます。また1階の事務所受付から2階の保育室の様子を感じることを可能にしました。

2枚目の写真は、隣の保育室と視覚的につなげることで、異年齢の子どもが交流できるようにしました。保育士は、必要に応じて扉を開けたり、カーテンで遮ることができます。

3-4枚目の写真は、限られた保育室を、幾つもの変化のある室内に分けています。光の明暗、天井の高低や素材の変化によって、子どもがその時の気持ちにあった場所を選択することを可能にしました。

保育室を囲われた部屋として完結させずに、隣接諸室と適度な開口をつくりつなげることで、様々な子どもの交流が生まれます。また1つの部屋でも、色や採光の度合を調整することで、多様な雰囲気の場所を創り出すことが可能になります。

玄関ホールが見えるように設置した保育室の窓
玄関ホールが見えるように設置した保育室の窓
異なる年齢の保育室をつなげる空間
異なる年齢の保育室をつなげる空間
ひとつの部屋を異なる雰囲気のスペースに分ける天井
ひとつの部屋を異なる雰囲気のスペースに分ける天井

水回りの環境構成

水回りの環境構成は、園児の効率的な動線の点で重要です。水回りの環境構成を配慮することで、園児がトイレ空間を身近に感じたり、保育士が短い動線で日々の保育を行なうことができるメリットがあります。

1枚目の写真は、綺麗なタイルで飾ることで、トイレは汚い場所という子どもの印象を払拭することができ、トイレが好きになるきっかけを作ります。円滑なトイレトレーニングにもつながります。

2枚目の写真は、子どもが園庭で遊び、足洗い場で洗い、シャワーを浴びる、という行為を連続して行えるようにすることで、子どもや保育士の無駄な動きをなくすことを可能にしました。水回りの配置を工夫することで、保育士の日々の動線を短くすることができます。

3枚目の写真は、衣類棚を水回りに隣接させ、棚を両面使いとすることで、保育士が置いた衣類を、保護者が反対側から受け取れることを可能にしました。

水回りは保育室と同等に大切です。素敵な雰囲気にすることでトイレを身近に感じたり、生活や動線の中心になるような場所に配置することが重要です。

きれいなタイルで清潔感のあるトイレ
きれいなタイルで清潔感のあるトイレ
園庭から直接入って汚れた足をすぐ洗える洗い場
園庭から直接入って汚れた足をすぐ洗える洗い場
水回りと廊下の間に設置した衣類棚
水回りと廊下の間に設置した衣類棚

遊び場・絵本コーナーの環境構成

遊び場・絵本コーナーの環境構成は、子どもの興味や関心をひきつけて、自分からやってみたくなるような環境にすることが重要です。遊び場・絵本コーナーの環境構成に配慮することで、子どもの自発的な動きを誘発する環境をつくることができます。

1枚目の写真は、階段の平らな部分を広くしつつ、壁面に入って籠もることができる場所をつくることで、子どもが階段で座って遊んだり、1人になって遊ぶことが可能になりました。

2枚目の写真は、2階建ての木製立体遊具です。一部分を着色した壁や周り階段、見通せる格子戸や隠れられる壁などを散りばめることで、子どもの興味を惹き付け、自分から動きたくなる遊び場が出来上がりました。

3枚目の写真は、床を掘り込んで段差を作ることで、読み聞かせができる絵本コーナーを設けました。階段下の斜め勾配を生かした印象的な空間によって、子どもの興味を引きます。

空間の形に変化をつけたり、壁や格子で多様な場所をつくったり、壁の色に変化をつけることで、子どもの視覚や意識にうったえかけ、子どもが自分から動きたくなるような環境をつくりあげています。

遊び場になる広い階段
遊び場になる広い階段
子どもの好奇心をかき立てる立体遊具
子どもの好奇心をかき立てる立体遊具
段差を利用して座れる絵本コーナー
段差を利用して座れる絵本コーナー

園庭・外遊びの環境構成

園庭・外遊びの環境構成は、自然空間と触れあう点で重要です。園庭・外遊びの環境構成に配慮することで、自然がもつ豊かな多様性の中で、子どもがそれぞれの関心に合った遊びを発見することができます。

1枚目の写真は、園庭をL型に囲むようにウッドデッキを配置することで、全ての保育室から園庭に出やすい動線が可能となりました。

2枚目の写真は、既存樹をできるだけ残すように園舎配置を工夫することで、自然豊かな園庭となりました。大きな木と築山が相まって、森の中で遊ぶような園庭をつくることができました。

3枚目の写真は、プールとクライミングウォールを都心の園舎の屋上につくることで、限られた敷地の中に、空と太陽を感じる場所ができました。

園庭は、既存の自然を可能な限り残したり、新たに取り入れたりすることで、自然の中の外遊びが可能になります。築山を元気に駆け上がったり、木の実を集めたり、それぞれの子どもの差異を受け止めてくれる自然の多様性は、子どもの育ちにとって重要です。

園舎から園庭につながる広いウッドデッキ
園舎から園庭につながる広いウッドデッキ
砂場、築山など自然との触れ合い
砂場、築山など自然との触れ合い
屋上を利用したプールとクライミングウォール
屋上を利用したプールとクライミングウォール

事務室・休憩室の環境構成

事務室・休憩室の環境構成は、保育士が子どもを安全に、そしてあたたかく見守るために重要です。子どもがいる場所に保育士が効率的に目を配ることができる配置計画が必要です。

1枚目の写真は、園庭全体を見渡せるように、園庭を囲む形で事務室内の机を配置することで、事務室内の職員も子どもを見守ることが可能になりました。

2枚目の写真は、絵本コーナーを事務室に近接させることで、保育士は事務室内から子どもを見守ることができます。お迎えが遅くなる子どもたちを絵本コーナーで遊ばせることで、保育士は事務所内で日誌などの仕事を進めることができます。

3枚目の写真は、足を伸ばせる休憩室です。テーブルを囲むことで、日々の連絡や保育士同士のコミュニケーションを容易にすることが可能になりました。

子どもを見守る保育士の視線や日々の動線を効率化することで、無駄な動きがなくなり、ゆとりのある保育に繋がります。コミュニケーションが生まれる休憩室は、落ち着いた保育環境づくりに繋がっていきます。

園庭を見渡せる事務室
園庭を見渡せる事務室
絵本コーナーと隣接させた事務室
絵本コーナーと隣接させた事務室
保育士同士の憩いの場となる掘りごたつ式の休憩室
保育士同士の憩いの場となる掘りごたつ式の休憩室

その他(収納・動線)の環境構成

その他(収納・動線)の環境構成は、保育士の動線を短くし、効率的な動きができる点で重要です。吊り棚収納は、天井高の低い空間と高い空間をつくり、空間に抑揚をつくることもできます。

1枚目の写真は、おむつ替え台から多方向を見渡せるように工夫することで、保育士はおむつ替えをしながら保育室の子どもを見守ることが可能になりました。

2枚目の写真は、収納棚を各保育室間の間仕切りとすることで、保育室間で子どもが交流できるようにしつつ、保育士の効率的な動線をつくることが可能になりました。

3枚目の写真は、階段下の斜め勾配部分を利用して大きな収納を作りました。天井高の低い部分ができることで、大きな保育室に小さな変化が生まれました。

収納や家具の配置計画は、子どもを見守る点でとても重要です。保育士がそこに立った時に何が見えるかを考えて詳細に設計をすることで、効率的な動線や保育に繋がります。

保育室を見渡せるおむつ替え台
保育室を見渡せるおむつ替え台
保育室を緩やかに仕切る収納棚
保育室を緩やかに仕切る収納棚
階段下を利用した大型収納スペース
階段下を利用した大型収納スペース

環境構成に配慮した保育環境を実現するための4つのポイント

環境構成に配慮した保育環境を保育園・認定こども園で実現するためには、子どもたちが過ごす場所のつくり方や、保育園の運営に配慮した保育士の動線など、いくつかのポイントで注意が必要です。これらのポイントに注意することで、保育士の保育計画が適切に反映される効果が見込めます。

ここでは、保育園・認定こども園の園舎を計画する際に、環境構成に配慮した保育環境を実現するためのポイントについて紹介します。

ポイント1:小さな空間の集まりにすることで、子どもたちの居場所をつくる

大きな保育室だけを作るのではなく小さな空間の集まりにすることで、子どもたちの様々な活動の欲求を充足できる効果があります。

集団で元気に遊ぶ大きな空間だけでなく、一人で遊ぶことができる小さな空間をつくることで、静かにリラックスして遊ぶ空間ができあがります。

それぞれの関心にあった遊びを自分で選択できる環境にすることで、主体的で自発的な活動を促す効果があります。

1人で遊べる小さな空間
1人で遊べる小さな空間

ポイント2:保育士の動線や部屋の位置関係に配慮することで、円滑に運営ができる

保育士の動線や部屋の位置関係を配慮した計画とすることで、保育士の無駄な動きが少なくなり、ゆとりのある行動を取りやすくなるなど、保育園の運営や保育士の仕事に良い影響があります。

たとえば、0歳児室やランチコーナーを見渡せるように調乳室を配置することで、保育士が調乳作業中でも子どもを見守ることができます。

また、年齢の低い保育室をウッドデッキや園庭の近くに配置することで、子どもにとって外遊びが身近になり、保育士や子どもの動線を短くすることができます。

日々の動きを想定した配置計画をすることで、保育士も子どもも落ち着きやすくなり、潤滑な保育園生活に繋がります。

ランチコーナーを見渡せる調乳室
ランチコーナーを見渡せる調乳室

ポイント3:誰でも集まれる場所をつくることで、異年齢での交流を促せる

年齢ごとに区切られた保育室だけでなく、誰でも集まることができる場所をつくることで、異年齢での交流を促すことができます。

異年齢での交流をすることで、子どもが知らないことを発見したり、小さな子どもに優しくすることなどを覚えることができます。

絵本コーナーや遊びスペースや工作コーナーを、保育室と保育室の間に配置したり、廊下の途中に設けて、異なる年齢の子どもがいつでも行けるようにすることで、異年齢の自然な交流を促します。

異年齢の子どもが集まれる遊びスペース
異年齢の子どもが集まれる遊びスペース

ポイント4:限られたスペースを有効活用することで、豊かな保育環境をつくれる

階段下のように、限られたスペースを有効活用することで、豊かな保育環境をつくることができます。

たとえば、階段下の低い天井高を利用して、ほら穴のような絵本コーナーをつくることができます。階段下の斜めの形を利用することで特徴的な空間ができあがります。階段下のスペースは、たくさんの書類や大きな物を収納できる倉庫にすることで、保育室や事務室に物が溢れないように活用することも可能です。

また、限られた敷地の園舎では、屋上に大型遊具を設置したり、壁を利用したクライミングウォールをつくることで、外遊びの機会を増やすことができます。

限られたスペースを有効活用することで、子どものための小さなスペースに変えることができたり、物が部屋にあふれないようにでき、特徴的な空間つくりや円滑な運営に繋がります。

階段下の傾斜を利用した絵本コーナー
階段下の傾斜を利用した絵本コーナー

まとめ:保育園のこだわりを実現するために、環境構成に配慮した計画をしよう

環境構成は、保育において子どもの主体性を促し、保育士による保育計画が適切に反映される状況をつくり出すために必要な考え方です。保育園・認定こども園における環境構成は、園舎の計画段階から検討することで、保育園の教育理念やこだわりの実現につなげることができます。

この記事のポイントは以下のとおりです。

  • 環境構成とは、保育において子どもが主体的に活動を行い、発達に必要な環境をつくり出すことを目的にした考え方をいう
  • 環境を「人的環境」「物的環境」「自然環境」「社会環境」の4つの要素として把握することで環境構成が行いやすくなる
  • 園舎の計画段階から環境構成に配慮することで、子どもの自発的な動きを誘発する環境をつくることができる
  • 保育室や遊び場を小さな空間の集まりにすることで、子どもの興味関心や個性を尊重した環境を構成することができる
  • 動線や部屋の位置関係に配慮することで、保育園の円滑な運営に繋げ、保育士の保育計画が適切に反映される効果を見込むことができる

Office EAは、園舎の計画段階から環境構成に配慮することで、保育園・認定こども園の運営・経営の悩みや課題に寄り添い、教育理念やこだわりの実現をサポートいたします。保育園の環境構成の考え方、運営に配慮した園舎のつくり方など、保育園の計画に関してお困りの方は、お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください

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